先日、freeeの担当者さんにふと聞いてみたんです。「freee会計のバックアップって、みなさんどうされてます?」と。すると返ってきた答えは、「MCP(AIと外部ツールをつなぐ仕組み)を使って、定期的にCSVを落としている事例がありますよ」とのこと。
なるほど、いま流行りのMCPか……!と納得しかけたのですが、そこから私の「眠れない夜」が始まりました(笑)。今回は、freee会計の全顧問先データを毎晩自動でバックアップする仕組みを、深夜3時までかかって一晩で自作したお話をお届けします!!

そもそも、なぜ「freee会計の自動バックアップ」を自分で持ちたいのか
昼間に担当者さんから「MCPでバックアップ」という話を聞いてから、ずっと頭の片隅で考えていました。そもそも、なぜ私はここまでして「freee会計の自動バックアップ」を自分の手元に持ちたいのか。理由は大きく3つあります。
クラウドの盲点:いざという時、戻すのは誰?
これはfreeeに限らず、すべてのクラウドサービスに言える盲点なのですが、「クラウドにあるから安心」ではないんですよね。
執筆日(2026.10.28)現在、もう毎日、大量の不正アクセスやデータ漏洩、サービス停止のニュースを見ない日はありません。うっかりミスによる誤操作はもちろん、もし万が一アカウント乗っ取りなどの被害に遭い、悪意のある第三者にクラウド上のデータを勝手に書き換えられたり、消されたりしてしまったとき。「昨日のあの時点にデータを戻したい!」と思っても、自分の手元ですぐに巻き戻せるとは限りません。
自分でデータを持っていなければ、いざという時に自分で戻せない。データの主導権は、やっぱり自分たちで握っておきたいんです(ソブリンAIならぬ、「データソブリン(データ主権)」ですね)。
NASの「不変スナップショット」にねじ込みたい!
以前の記事で作った、ランサムウェアでも削除できない「不変(イミュータブル)スナップショット」。
うちの事務所では、Google Workspace(Googleドライブ)にデータさえ入れておけば、自動的に事務所のNAS(Synology)へ運ばれ、最強の保護設定がかかる仕組みになっています。
例えるなら、「金庫室(NAS)の搬入口は、Googleドライブにしか開いていない」状態です。だからこそ、freee会計のデータをGoogleドライブという搬入口まで毎日運んでくれる「専用のトロッコ」がどうしても欲しかったんです!
人の手では、いつか必ず漏れる
もちろん、手動でもCSVは落とせます。でも、毎日自分が処理した顧問先ごとに全部ダウンロードするなんて……人の手でやっていたら、絶対にどこかで漏れますよね。
だからこそ、「自動で、毎日、Googleドライブへ」運ぶ仕組みが不可欠でした。
夜:MCP、そろそろ解禁するべき?と揺れる心
その日の夜。自宅に帰ってからも、昼間に聞いた「MCPで定期的にCSVを落としている」という話が頭をぐるぐる回っていました。
以前の記事で、私は「MCPはPCの勝手口になるから導入していない」と書きました。
AIに外部ツールの操作権限を渡すなんて、セキュリティ的に怖すぎると。 でも、世の中を見渡せば、freee会計をはじめいろんなサービスが「MCP前提」の流れになってきています。
「うちもそろそろMCPを解禁したほうがよいのかな……」 セキュリティと利便性の間でグラグラと揺れながら、私はベッドに入りました。
23:45、ベッドでClaudeに相談 →「この仕事にAIは要りません」

時刻は23時45分。子どもを寝かしつけしたベッドの中でスマホを開き、相棒のAI(Claude)に正直な迷いをぶつけてみました。「freee会計のバックアップを自動化したいんだけど、やっぱりMCPを使うべきかな?」と。
すると、Claudeから返ってきたのは、予想外の言葉でした。
「判断力のあるAIは不要です。むしろ、毎回同じ動きを保証できない分だけ邪魔になります。」
なんと・・・(笑) MCP(AI)を使うべきか相談しているのに、AI自身から「この仕事にAIは要りません」とバッサリ切り捨てられたのです!!
でも、言われてみれば自分のやり方とも一致していました。かねてから、AIは確率ベースで仕事をするので、定型業務はルールベースのほうが良いと考えていました。今回 私がやりたいのは「毎日、確実に、寸分違わず同じ手順でデータを保存すること」です。そこにAI特有の「考える力」や「ゆらぎ」は一切必要ありません。むしろ、たまに変な気を利かせて違う動きをされたら困るわけです。ベッドの中でひとり、「た、たしかに……!!」と目が覚めてしまいました。
Pythonは無理!じゃあGASで「freee会計の自動バックアップ」を作ろう
「AIが要らないなら、どうやって自動化するの?」と聞き返すと、Claudeが最初に提案してきたのは、手元のPCで動かす「Python(パイソン)」というプログラミング言語でした。
え?ぱ、Python・・・?なにそれ?(笑)そもそも事務所のPCの中で見知らぬプログラムを勝手に動かしたくない!! そう伝えてさらに相談を重ねた結果、Google Workspaceの中で完結する「GAS(Google Apps Script)」で作ることに決定しました。これならGoogleの安全な環境の中で動いてくれます。
ここでの最大のポイントは、以前の記事でも書いた「用途の固定化」です。
- プログラムを作る時: AI(Claude)に頼んで書いてもらう
- 毎晩プログラムを動かす時: AIは一切使わない
この切り分けです!動かす時にAIを使わないので、毎晩いくら自動でバックアップが走っても、AIのトークンはゼロ(特にClaudeを使われている方は気にされている方が多いのではないでしょうか)。しかも、AIが暴走するリスクもありません。
さらに、セキュリティ面でも徹底的に絞りました。 今回はGoogle Workspace内のGASを使いつつ、さらにfreee会計につなぐ権限も「参照(読み取り)だけ」に設定しました。こうしてアタックサーフェス(ハッカーから見た攻撃される入口)を最小限に留めることができたので、万が一この仕組みに何かあっても、freee会計の中の仕訳を消したり、勝手に登録したりすることはシステム上できないようになっています。
0:00〜3:15 深夜の工作!エラーとの格闘(笑)
方針が決まったのが深夜0時。そこからはもう、ベッドを抜け出して深夜の工作タイム突入です(笑)。
Claudeに設計図を書いてもらいながら設定を進めていくのですが、まあ一筋縄ではいきません。
たとえば、freee会計の仕訳データをダウンロードする仕組みって、一回でポンと落ちてくるんじゃないんです。「①データを頼む → ②向こうで準備ができるのを待つ → ③出来上がったデータを受け取る」という3段階のステップが必要になります。
最初はそれを忘れて、freee側から返ってきた「受け付けました(いま準備中です)」という合図を、「データが取れなかった=失敗した!」と勘違いして同じところを行ったり来たり(笑)。 さらには、眠すぎて必要な権限のチェックを付け忘れ、「権限がありません」という冷たいエラー画面を2回も食らったり……。深夜に作業をするもんじゃないですね(笑)。
あーでもない、こーでもないとClaudeと二人三脚で画面と格闘すること約3時間。 すべてのテストが通り、画面に綺麗なCSVファイルが並んだ瞬間……時計を見たら、深夜の3時15分でした!!
ついに完成!「freee会計の自動バックアップ」の全貌

こうして深夜3時15分に産声を上げた、ミライクラフト特製「freee会計の自動バックアップ」システム!毎晩、深夜になると自動で動き出し、以下のデータをすべて引っ張ってきます。
- 仕訳帳(すべての取引データ)
- 試算表(貸借対照表・損益計算書・製造原価報告書)
- マスタ類(勘定科目・取引先・品目など)
これらがGoogleドライブの中に、「顧問先ごと」「期(年度)ごと」のフォルダに自動で振り分けられ、整然と並んでいきます。この綺麗に並んだフォルダを見たときの快感といったらありません!!
保存のルールもかなり実務的に作り込みました。
- 最新版は毎日上書き(いつでも最新の状態がすぐ見られる)
- 過去の履歴は30日分を自動保管(「3日前の状態に戻したい」に対応)
- 決算が終わった期は「確定版」としてロックをかけて永久保存
この仕組みの素晴らしいところは、普段ちょっとした確認や復元をしたい時は、使い慣れたGoogleドライブを見るだけで済むこと。そしてその裏では、Googleドライブに入ったデータが自動的に事務所のNASへ送られ、「消せない金庫室(不変スナップショット)」にガッチリ守られます。NASの出番は、本当に何かあった非常時だけです。

翌朝:自動実行が成功!そして実機確認とルール作りへ
そして翌朝。ドキドキしながら事務所のPCを開いて実機確認をしてみると…… 顧問先のバックアップが止まること無く完璧に完了していました!!(もし通信エラーなどで失敗した日は、私のところへ通知メールが届くようになっています)。
ただ、仕組みを作って終わりではありません。今回も「セキュリティ対策室」こと別プロジェクトのClaudeと相談し、万が一連携用の鍵が漏洩したような場合に備えて、一発で遮断する「緊急停止の手順」も定めました(防犯上、細部は非公開とさせていただきます!)。
ここまでやって初めて、安心して眠れる「自動バックアップ」の完成です。
まとめ:MCPを解禁する前に、「その仕事にAIは要るか?」
今回、freee会計の自動バックアップを作る過程で一番の学びだったのは、「MCPを闇雲に解禁するのではなく、定型作業は先に『AIなし』で作れないか考える」ということでした。
便利そうだからと何でもAI(MCP)につなぐのではなく、「毎回同じことを確実にやる仕事」なら従来のプログラム(GASなど)に任せる。そして、そのプログラムを「作る時」にだけAIの力を借りる。MCPを解禁するかどうかは、本当にAIの判断力が必要な用途かどうか、一つずつ見極めてからで十分間に合います。
最後に、私たちのような小規模事務所や中小企業がこの仕組みを取り入れる際の3つのポイントです。
- freee会計(クラウド)のデータは、自分の手元にもバックアップ(できれば不変)を持つ
- 自動化して漏れをなくす(AIには「作らせる」だけで、動かす時は使わない)
- 作ったら必ず翌朝、自分の目で実機確認する
大事な会社のデータ、ぜひご自身の手元でもしっかり守っていきましょう!

CTA/小規模企業のリアルなIT活用・守り方を知りたい方
「freee会計の自動バックアップ、うちの事務所(会社)でもやりたいけれど、どうすればいい?」「クラウド会計の導入やデータ管理について一度相談してみたい!」という経営者様・同業の先生がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にお声がけください。
ミライクラフト税理士事務所では、単なる税務処理だけでなく、こうした「小規模企業のリアルなIT活用・守り方」も一緒に悩み、伴走いたします。まずは無料相談から、お気軽にお問い合わせください!
ミライクラフト税理士事務所 代表税理士 今北 有俊




